絶対やせてやる!

目の前に止まった車。


「お待たせしました。」


内側から古宇さんが助手席側のドアをちょっと開けてそう言った。


古宇さんの新車は想像してたのと違った。


ってゆ~か・・・違い過ぎ!



真面目なオタクくんの車じゃなくって・・・

何で?何で?


そう思いながらも取り合えず乗り込む。


新車の匂いがした。

もちろん運転席は右にある・・・

だけど・・・これは紛れもなく・・・



「外車ですよね?これ。」

「え?ああ、よくあるやつでしょ?」


よくあるって・・・


そりゃあ私だって分かるけど・・・


「一番初めにみのりさん乗せる約束守れてよかったです。」


古宇さんは、笑顔でそう言った。

はあ・・・そうですか。

やっぱり古宇さんって正体不明だ。


「海見に行ってたんです。」

「海?」

「いいとこ見つけました。」


釣りか・・・


外車で釣りね。


釣りには興味が無いから話を広げたくない。

このままうちに帰れば父が釣り話で喜ぶだろうけど・・・

そんなこと考える自分に呆れる。


さっき士幌とあんな約束を交わしたばかりだってゆ~のに・・・。


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