あなたに溺愛
罠がもたらした別離

side 瞬

翌日。

スマホを失くしたことに気付いた俺は、あちこち探していた。

「麗、俺のスマホ見なかったか?」

「知らないわ」


家で見つけられなかったので、学校帰り、昨日の広場にも探しに行った。


昨日と同じ場所に立つと、多田と真菜の幻影が見える。


あんなに、真菜が好きだったのに……。


真菜を思い出して、こんなに悲しい気持ちになるなんて想像も出来なかった。


もう、ふたりで観覧車に乗った時のような、お互いを大切に想い合う気持ちには戻れないのだろうか……。


北風に吹かれ、冷える体。

心の中にも、冷たい風が吹いていた。
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