あなたに溺愛
「俺が酷いメールを30通も送ってきたと思ってたんだろ?
嫌いにならなかったの?」


真菜はまた涙をこぼして、

「瞬を嫌いになんて、なれないっ……」

と言ったあと、号泣した。



この時の俺は、自分にも非があったのだし、真菜とやり直そうと思う気持ちと、

お互いの裏切り行為を見せ合った、あの複雑で憂鬱な気持ちの狭間で揺れていた。


あの時、真菜と自分の母親が重なって見えた。

裏切られた感覚が、多田とのキスシーンが、フラッシュバックのように何度も思い出されて心をえぐる。


今までのように簡単に、何も無かったことに出来なくなってしまっていた。
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