そのなみだに、ふれさせて。

・溶けし青はあの日の君を誘う瑠璃








「まだ泣き止んでなかったのか……

瑠璃。お前そのままだと明日の顔ひどいぞ」



「いっくんのその発言がひどいよ」



ぐすっと鼻をすすって、涙を拭う。

眠っているななみを起こしてしまわないように、もう一度リビングにおりてきたわたしと南々ちゃん。いっくんはお風呂から上がってきたけど、泣き止んでいないわたしを見て呆れ気味だ。



……だってうれしかったんだもん。

南々ちゃんがわたしを大事にしてくれてること。



「ねえ、いつみ。

今はまだ解決しないで、もうすこし瑠璃がわがまま言えるまで黙ってようと思ってたのに、どうして先にネタばらししちゃったの?」



瑠璃が分かってくれたからもういいけど、と。

言いながらわたしの頭を撫でている南々ちゃんが、いっくんを見る。



わしゃわしゃとタオルで適当に髪を拭った彼は。

「ああ、」と納得したように零して。




「……仕掛けたくせに泣きそうな顔してたからな。

さすがに放っておけなかったってことだよ」



「……なにそれ」



「たとえ相手が瑠璃だろうと。

お前のこと泣かされたら、多少は腹立つからな」



……わあ、相変わらずラブラブだ。

お邪魔だなあとは思うけど、いまはこの場から離れたくない。ぎゅっと南々ちゃんに抱きつくと、彼女はそんなわたしにくすくす笑った。



「南々ちゃん、わたし明日オムライスたべたい」



「オムライス? じゃあ夕飯はそれね」



些細なわがまま。

それすらも言えなくなっていたけど、こんな風に、ひとつずつ言えるようになっていけばいい。



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