そのなみだに、ふれさせて。
あんまりわがままばかり言うと、本当にわがままになっちゃいそうだけど。
そうなった時に、南々ちゃんはわたしを思って叱ってくれるんだろう。だから、怖くなかった。
「で、いつまで引っ付いてるんだ?」
「いっくんやきもち?」
「ヤキモチも何も、南々瀬は俺のだろ」
うわあ……激甘。
でもほかのみんなの前では絶対言わないと思う。だって絶対ネタにされちゃうもん。特に夕くんは嬉々として弄る。
「遅くなっちゃったけど、何か夕飯つくる?
軽いものだったら、すぐ作れるけど」
立ち上がろうとする南々ちゃんを、「いい」と引き止めるいっくん。
いつも忙しく働いているから、ご飯をちゃんと食べないのは不安だけど。彼はお医者さまだから大丈夫だろう。
「それより瑠璃。ちゃんと目元冷やしとけよ」
「はぁい。
ちょっとはやいけど、わたし歯磨きして寝るね」
「ええ。着物はわたしが片付けておくからそのままにしておいてくれて構わないわよ」
「うん、ありがと」
いろちゃんに電話……は、遅くなっちゃったからいいや。
それに週末会えるし、とりあえず紫逢先輩を呼ぶかどうかはあとで考えるとして。
「おやすみなさい」
歯を磨いてから、水で濡らしたタオルを持って部屋に向かう。
いろんなこと、まだまだ解決していないけど。……それでもちょっとは、心が軽くなったような気がした。