そのなみだに、ふれさせて。



……不治の病ってどうなの。

っていうか、瑠璃のことになると大人げなさすぎるでしょ。将来瑠璃が本当に結婚するってなったら、冗談じゃなく本気で反対しそうで怖い。



「いいだろ。

葛西の息子なら礼儀に問題もなさそうだしな」



「え、いっくん甘くない……!?

いっくんも反対派だと思ってたよ……!」



「なら逆に、問題点上げてみろよ」



「問題点……金髪?」



「お前自分の兄貴が昔何色の髪だったと思ってんだ」



……そうよね。いまは教師をしてるから椛も黒髪だけど、出会ったとき彼の髪色はオレンジベージュだった。

聞くところによれば昔はもっと明るく派手な単色のオレンジだったらしいし。




「最初から認めてもらえるとは思ってないので全然大丈夫ですよ。

……というか、認めてもらえないと逆に燃えます」



「椛よりよっぽど大人じゃねえか」



「夕さんに言われたくないっての。

……てか、瑠璃。千勢はどうしたんだよ〜。俺はあいつに余計な男がつかねえように言ってたんだけど〜?」



ギクッと、肩を揺らす瑠璃。

薄ら気づいていたけれど、実はわたしも瑠璃から話を聞くまで千勢と付き合っていたことを知らなかった。つまり。



「ち、ちーくんと今ちょっと喧嘩してて……」



「はあ?

あいつ瑠璃にべったべたに甘いじゃねえの」



椛は、そもそも千勢が瑠璃の彼氏だったことを知らない。

……翡翠はさすがに知ってたみたいだけど。



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