そのなみだに、ふれさせて。



でも手伝ってもらえるなら、と。

瑠璃にお皿を出してもらっている間にカレーを温めなおしていれば。



「瑠璃が敬語使ってるってことは年上だよねえ?

何年?っていうかどういう繋がり?」



「千勢のことも知ってるんでしょ?」



瑠璃を溺愛する兄ふたりが、紫逢くんを質問攻めにしているのが見えた。

……瑠璃から聞くのはあきらめて、直接彼に聞いているらしい。なんて大人げない。



「特進の2年です。

瑠璃と同じで生徒会役員なので、」



「うわ出た。……瑠璃って会計補佐だっけ?

生徒会で何やってんの?副?」



もしかして、ふたりして彼の弱みを握ろうとしてるんだろうか。

認めないって言い続けて、もし瑠璃を泣かせたらふたりはどうする気でいるんだろう。……いや、瑠璃は泣かないだろうけど。




「会計です」



「合法で仲良くなれるヤツじゃねえか……!

いますぐ役職変えたほうがいいわ〜。千勢と瑠璃の役職逆にしたほうがよくねえ?」



「そうだね。

会計担当と、かわいい会計補佐がやましい関係になっちゃだめでしょ」



なにこのツッコミどころの多い会話。

合法で仲良くなれるって何。ちゃっかり"かわいい会計補佐"とか言っちゃってるし。ただ付き合ってるだけなんだから、別にやましい関係でもないでしょ。



「ってか南々ちゃんは何で許容してんだよ〜。

可愛がってる瑠璃が男に手出されたら困るだろ」



そりゃあまあ、瑠璃はまだ1年生になって間もないし。

さすがに背伸びした恋愛事情に関しては、やめておきなさいとわたしも言うだろうけど。



「……人のこと言えないのよね」



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