そのなみだに、ふれさせて。

・できることならば終わりなきよう








「……だいじょうぶ?」



綺麗なオッドアイが、わたしに向けられる。

すこしだけ風に当たりたいと言ってリビングを出れば、彼も「ついていくよ」と一緒に外へ出てきてくれた。



こくん、とうなずく。

うなずくけど、頭の中はぐちゃぐちゃだった。



「……わたし、」



会長は、ほづみちゃんのことが好きなんだって思ってた。

だからあきらめなきゃって。このままずっと好きだったとしても苦しいだけだって、そう思ってた。……なのに。



「何にもわかってなかった……」



彼がほづみちゃんを好きじゃないなら。

まだチャンスはあるんじゃないかって。そんな風に考えてしまった自分が、すごく嫌になる。




……紫逢先輩のことを、選んだのに。

会長があの子を好きじゃないのなら、なんて、そんな都合の良いことをしたくない。



だけど。……だけど、それでも。



「瑠璃さー……」



家の前にある階段の手すりに身を預けた先輩が、わたしを見る。

手を伸ばして彼はわたしに触れようとしたのに、結局その手はわたしのどこにも触れなかった。



「なんで会長のこと好きになったの?」



「え、」



「ほら、いままで会長を好きだったことは知ってるけど。

どうして瑠璃が好きになったのかまでは、よく考えたら知らないなぁと思って」



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