そのなみだに、ふれさせて。
「それがだんだん当たり前になっていくって、わかってるの。
それこそ、大学だって、その先に就職する時だって、当然ばらばらだろうし。……うん、ちゃんとわかってるんだけど、わたし、」
「瑠璃。もしかしてまだ気にしてるの?」
屋上で会長に言われたのと、同じ言葉。
わたしが憂えた表情を浮かべるたび、生徒会のみんなは、いつもそうやって聞いてくる。……まるで罪悪感を隠しながら、腫れ物に触るみたいに。
「気にしてるわけじゃないよ……」
気にしてるわけじゃない。
だけどそう聞かれるたびに、何度も何度も、まるで砂を飲まされるような感覚に陥った。
「気にしてないけど、」
脳裏で、蘇る。──ほんの一寸も違わず、鮮明に。
「何が正解なの……?」
『1年の生徒会役員、書記と会計補佐を指名する。
ひとりは特進科の、萩原千勢。そして、』
留学するまでの2ヶ月、翡翠はわたしと同じように王学で授業を受けていた。
度々変わる校則の中、生徒会に関するもので新しいルールはこの3つ。
ひとつは、女性生徒会役員の承認。
ふたつめは、6人構成の生徒会役員は理事長の許可があれば、『生徒会長補佐』もしくは『生徒会長代理』の役割を与えられる7人目の存在を認められる。尚、学期に関係なく追加が許される。
そして、最も新しいものは。
『教養科、麻生翡翠』
──留学中、もしくは留学予定の生徒は、
原則その年の生徒会役員になることができない。