そのなみだに、ふれさせて。
「っ……ごめんなさい」
「………」
「ごめんね……っ」
謝って許してくれるとは思わない。
むしろ自分の好きな人の好きな人に謝られたら、すごく腹がたつ。それはわかってたけど、それでも、謝らなきゃ気が済まなかった。
「……わたし、も。
さっきはちょっと言い過ぎたから……ごめん」
「ほづみちゃん……」
潤んだ瞳で、わたしを見る彼女。
小柄な彼女は、今日も今日とてひどく美しい。
「瑠璃ちゃんに起こったのはぜんぶ過去で……
でもわたしにとって結婚の自由がないのは、未来の話だったの。……だけど雨音がそれをやめたいって言い出したから、さすがに我慢ならなくて」
「、」
「でも……わかんなくもない」
「え……?」
「顔に出やすいって言ってんの。
わたしの気持ちに気づいたって言ったけど、わたしだって瑠璃ちゃんの気持ちには最初っから気づいてたわよ」
はあ、と、ほづみちゃんがため息をつく。
それから、会長に触れていた手を離した。
「……そういう、まっすぐなとこ。
雨音が好きになったのも、分からなくはない」