そのなみだに、ふれさせて。
綺麗に、笑う。
その姿はやっぱり眩くて綺麗で、不覚にもわたしが男だったらほづみちゃんを好きになったんじゃないかな、と思った。
「……でも、どうするの?
雨音と付き合ったって、いつかは別れなきゃいけない。両親はわたしたちの結婚で同意してるもの」
目を細める彼女に、思わず黙り込む。
嫌味じゃなく、ただただ疑問なようだった。
「そもそも瑠璃ちゃん、
いま紫逢先輩と付き合ってるのよね?」
「……そうだよ」
くるりと、彼を振り返る。
やわらかなプラチナゴールドの髪。
オッドアイを、ゆるく細めた彼は。
髪に触れて、気にしていないとでも言いたげに。
「……別れよっか?」
なんでもないように、言い放つ。
「……あの。
わたし、別れる気ないですよ?」
「え、」
「まあ、たしかに会長のこと好きですし、会長が好きでいてくれてるなら、うれしいですけど……
だからって紫逢先輩と別れる必要はないですよね」
「いや、筋が通ってるように聞こえてるけど全然通ってないじゃんそれ……
もしかしてこないだの話気にしてんの?」
こないだの話……どれだ。
紫逢先輩と一緒にいる機会が多いせいでどの話かわからない、と考え込むわたしに、紫逢先輩は「俺と別れないって言ってたじゃん」と告げる。