そのなみだに、ふれさせて。



そのオッドアイに見つめられたら、どうしようもなく惹かれる。

歩み寄れば、彼は満足そうに目を細めて。



「いい子」



わたしの頭をふわふわと撫でた。

……完全に子どもあつかいされてる。



「言っとくけど。

……瑠璃が別れないって言ってくれた以上、俺は何があっても譲る気ないから」



「わわっ、」



ぐっと腕を引かれて、強く抱きしめられる。

顔を上げれば彼はいたずらっぽく笑って、「ね?」とわたしに問いかけてきた。



ね?って言われても……

というか、そんなかわいい表情が似合う男の人もめずらしい。ちょっときゅんとしちゃったよ。




わたしの髪を指で梳いたかと思うと、彼のくちびるがちゅっと頬に触れる。

前から思ってたことだけど、紫逢先輩って、ほっぺにちゅーするの好きだよね……



「なんでそんなにかわいいの?」



「っ……!」



そしてなにより甘すぎる……!

そんな真顔で問いかけられたって、卑屈なわたしは「かわいくないです」としか返せない。でも誰に言われなくとも、顔が真っ赤なのはわかった。



「ああ、そうだ」



だまりこむわたしにくすくすと笑った紫逢先輩は、わたしの真っ赤な頬を撫でながら、何かを思い出したように顔を上げる。

そして、どこか挑発的に笑みを深めたかと思うと。



「会長も、萩原も。

……できるもんなら、俺から奪ってみれば?」



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