そのなみだに、ふれさせて。

・見方は変わりゆき感情は移りゆく








「南々さん、夕飯ごちそうさまでした」



「ううん、またいつでも来てちょうだいね」



20時前。玄関で、ちーくんをお見送りする。

南々ちゃんの腕の中にいるのは南々ちゃんの娘で、先月2歳になったななみ。どうやら、ちーくんに懐いているようで。



「ちー…く、」



「ふふ。またね、ななみ」



名残惜しそうに腕を伸ばすななみに、ちーくんは優しく声をかける。

頭を撫でられると嬉しそうに顔を綻ばせるから、思わずわたしの頰もゆるんでしまった。



本当に、ななみはかわいい。




「それじゃあ、また明日」



「うん、気をつけてね」



ついでにわたしの頭も撫でたちーくんにそう言うと、彼は「お邪魔しました」と言って、帰っていった。

それと同時に、一瞬玄関には沈黙が訪れて。



「さて。

遅くなる前にお風呂入っちゃいましょうか」



「南々ちゃん、先にななみと瀬奈(せな)と一緒に入っていいよー。

はやくしないと、ななみ寝る時間でしょ?」



「ありがとう、ならお言葉に甘えるわね」



リビングにもどって、南々ちゃんは「瀬奈」と彼を呼ぶ。

ソファには座らず、床に座ってソファに背を預けるような形で宿題をしていた瀬奈。呼ばれると、「風呂?」と首をかしげた。



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