そのなみだに、ふれさせて。
うなずくと、南々ちゃんはふわりと優しく微笑む。
キッチンにいる彼女とは反対に視線を向ければ、瀬奈とななみが寄り添って昼寝しているのが見えた。
「もっと単純に考えたって、誰も怒ったりしないわよ。
それにね。……そういう言い方してくれてるってことは、きっとみんな受け入れる気よ?」
「……? どういうこと?」
「勝手に言ったら怒られるかもしれないけど……
椛もルノも夕陽も、昔わたしのこと好きだって言ってくれてたのよ?」
「へ……」
みんなが、昔から仲良しなのは知ってる。
お互いに大事にしていることだって、見ていたら十分伝わってくるけど。
南々ちゃんちょっとモテすぎじゃないかな!?
「でもごめんなさいって言っても、みんな変わらず仲良くしてくれてるし。
夕陽は結婚して、椛も結婚に前向きでしょう?」
「そう、だね」
「だから瑠璃は考えすぎなのよ。
まあ、一生添い遂げる誰かひとりを選ばないと地球が滅亡する、みたいな話だったらまた別だけど」
ち、地球が滅亡って……
いきなり話のスケールがおっきくなっちゃったよ。
「誰を選んだって地球は滅亡しないし、わたしみたいに長年仲良くなれる場合だってあるわ。
だから、瑠璃は思ったことを素直に言ってみなさい」
大丈夫だから、って。
背中を押してくれる南々ちゃんに思いの外素直にうなずくことができたのは、南々ちゃんがわたしに言う「大丈夫」に嘘がないことを知っているから。
もうとっくに、信じてる。
たとえ血の繋がった家族じゃ、なかったとしても。