そのなみだに、ふれさせて。
ふたりを横目に子どもたちを起こしたら、寝起きが良い瀬奈はすっと起きてくれたけれど。
ぐっすり眠っていたのを邪魔されたからか、ななみはぐずってしまって。
「ふ……っ」
「ああああっ、ごめんねななみ……っ」
泣き出してしまったななみを、慌てて抱き上げてあやす。
よしよしとなだめてあげるけど、全然泣き止んでくれない。でも起こさなきゃ、ぜったい夜に寝れなくなっちゃうもんね……!
「瑠璃」
ななみはお利口で泣くことが少ないから、泣かれるととても困る。
あたふたするわたしに苦笑しながら声をかけてきたのは、いっくんで。
その声に反応したみたいに、ななみは涙目のままいっくんを見る。
それから腕を伸ばしたいっくんの腕に抱かれると、一瞬にして大人しくなった。
「ぱ、ぱ」
「ん。ただいま」
いっくんがこの時間に家にいるのは、本当にめずらしい。
瀬奈も「なんでいるんだ?」って言ってたし。
普段は一緒にいられないこの時間をいっくんと過ごせるのが、どうやら嬉しいようで。
甘えるように、ななみはずっといっくんにくっついたまま。
「瑠璃、瀬奈。軽くそこら散歩するか。
歩いたら、ななみも多少目が覚めるだろ」
「え、いっくんお仕事しなくていいの……?」
家でするって言ってたよね?
子どもに構ってる暇なんてないんじゃ、と心配したけれど。いっくんはわたしの頭を撫でて。