そのなみだに、ふれさせて。
「じゃあ、一緒にお出掛けしよう?
いっくんが嫌じゃなかったら、ドライブが良いなぁ」
「ドライブなら、休みじゃなくても多少早く帰ってきたときなら出来そうだな。
……お前のうるさい兄貴たちには、秘密にしとけよ?」
「ふふっ、バレたら文句言われそうだもんね」
くすくす笑って、かごの中にスイーツとお菓子を入れる。
南々ちゃんのお土産はミルクレープで、わたしの分は自分で買うよって言ったのに、結局全部いっくんが買ってくれた。
「もう。将来ななみが大きくなったら、
なんでも買ってあげるパパになっちゃうよ?」
「その自信があるって言ったら、
南々瀬からも甘やかしすぎるなって怒られたよ」
……もうすでに甘やかし予備軍だ。
まあ、わたしもお兄ちゃんたちには「欲しいものなんでも言って」って甘やかされて育ってきたけど。むしろいろちゃんも呉ちゃんも社会人になってから、その甘やかしが増してる。
「ただいまぁ」
「おかえりなさい。あら、ご機嫌ねななみ。
パパにお菓子買ってもらったの?」
「うんっ」
「よかったじゃない。
でも、もう夕飯だから今食べちゃだめよ?」
行きと同じ道を歩いて家にもどると、嬉しそうに買ってもらったお菓子を自慢しているななみ。
かわいいなぁと思いながら手を洗い、エプロンを身につけてお手伝いを開始した。
って言っても、南々ちゃんがほとんど済ませてくれてるんだけど。
まだできることがあるからとお手伝いしていたら、ふいにスマホが着信を受ける。
表示されている名前は、紫逢先輩で。
南々ちゃんに断って手を洗ってから、電話に出た。