そのなみだに、ふれさせて。







隣の部屋で眠っている瀬奈を起こしてしまわないよう、静かに扉を開いて。

そろりとリビングに降りて扉を開くと、ソファに座って仕事しているいっくん。そして。



「南々ちゃん寝ちゃったの?」



「ああ。疲れてるんだろうな」



そのいっくんに寄りかかったまま、眠っている南々ちゃん。

支えてあげているから右手がすごく使いづらそうなんだけど、南々ちゃんを離すという考えはないらしい。……さすがラブラブだ。



「瑠璃も、あまり夜更かしするなよ?」



「うん。

もう寝ようと思って、カップだけ洗いに来たの」



キッチンに足を踏み入れ、さっきまで部屋でカフェラテを飲んでいたカップ洗う。

それを終えて振り返ったら、いっくんと目があった。




「……? どうかしたの?」



「いや。何か良いことでもあったか?」



「え、別に何もないよ?」



否定しているわけではなく、本当に何もない。

そう伝えたのに、いっくんは「夕飯の前くらいからだな」と小さくつぶやいたあと。



「ああ、男から連絡あったからか」



「はい……!?」



とんでもない爆弾発言をしてみせた。



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