そのなみだに、ふれさせて。



それはもう、かなりの溺愛っぷり。

今日この場に連れてこなかったのだって、きっとみんなに質問攻めにされるのが嫌だとか、ほかの男の目に触れさせたくないとか、そういう理由だと思う。



「会わない間に、おめでたいこといっぱいだね」



ふわり。

笑ってそう言うルアに、「そうね」と微笑み返す。



「瑠璃と翡翠は、

いまここでお世話になってるんでしょ?」



「うん。とりあえず中2の間の1年って約束だったから、3月にまたどうするか決める予定」



ルノの質問を受けて、翡翠がそう答えるけれど。

瑠璃の表情がその隣で一瞬曇ったのを見て、椛と呉羽に視線を向ける。「近況は?」と尋ねてみれば、椛が困ったように目尻を下げた。



……良くはない、か。

両親の元に定期的に椛は通っているけれど、良くなったという話は聞かないし。そう簡単にうまくはいかないんだろう。




「瑠璃、翡翠」



誰に声をかけるべきか、と。

ためらったわたしの隣で、さっきまで瀬奈の面倒を見て黙っていたいつみが口を開く。



「去年お前らを受け入れた時点で、南々瀬はこの先何年でもお前らの面倒を見る気でいる。

だから難しいこと考えずに、いくらでも居座ればいい。それにここなら、」



さすが、というか。わたしの言いたいことはすべて理解してくれているらしい。

たしかにわたしは、ふたりが頼ってくるなら、これから先もずっと面倒を見る気でいる。だから遠慮なんて、しなくていい。



「こうやって集まる機会も多いしな」



出会った時から、変わらない。

この人がまだあの、城のような学園で、絶対王者だった時から。



変わらないから、今もまだ、わたしは。



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