そのなみだに、ふれさせて。
「ずっと好きでいられる保証なんてないのに……
どうしてそんなに若い頃に結婚したのかなぁって」
もちろん悪い意味で言っているわけじゃなくて、実際、わたしの両親は離婚してしまったわけで。
それでも変わらず愛を誓える絶対的な感情を、大好きな人と同じだけ持てる南々ちゃんのことが、ちょっとだけうらやましくなったのかもしれない。
「まあ、俺らの場合はやむを得ない状況が後押ししたっていうのが大きいからな。
それがなかったら、俺も成人してねえのに結婚なんて反対だったし」
「……そうなんだ」
「でも後悔はしてねえよ」
きっぱり。
そう言い切るいっくんと、その言葉に「わたしも」と返す南々ちゃん。ふたりの左手薬指には、同じ結婚指輪。10年前から、変わらない愛の証。
いつかわたしもそんな相手と出会えたらいいと思う。
そしてそれが彼だったらいいのに、なんて。
「でも、そんなことを瑠璃がわざわざ聞いてくるってことは……
もしかして好きな人でもできたの? 瑠璃」
「へ……?」
「だって瑠璃、いままでは恋愛に興味なさそうだったじゃない?
だけど今そうやって聞いてきたから、」
「ち、違うよ……! なんとなくだもん……!」
鋭く聞いてくる南々ちゃんに慌てて否定するけど、それが逆に怪しくなってしまったようで。
「ふふっ」と楽しげに笑った彼女は、わたしの否定をものともせず、「子どもたち起こしてくるわ」とリビングを出ていってしまった。
そうなれば、
わたしといっくんだけがここに残るわけで。
「ほんとに違うからね……!?」