そのなみだに、ふれさせて。
「そう。俺の実家だよ」
「ちょっと待ってください。
なんですかその凄すぎるつながり……!」
華道の家元に茶道の家元に、どちらともをお得意様とする呉服店の息子。
すごすぎる関係性に目を見張るわたしに、3人とも「大したことじゃない」みたいな顔をしているから、わたしの価値観がおかしいのかと思ってしまいそうだ。
「ま、だからコイツはこういう見た目だけど。
当たり前に茶道はできるし、華道もできるわよ。なんなら中学時代は弓道部だし、趣味は乗馬と百人一首」
「葛西先輩が一瞬にして何者なのかわからなくなったんですけど」
「とか言ってるあけみも、元剣道部のエースだよ。
俺らふたりとも、こんな見た目だけどね」
どうやらこの幼なじみコンビ、とんでもない才能を秘めたふたりらしい。
……いや、3ヶ月間、このふたりのそんな才能に気づかなかったわたしもわたしだけど。
「でもお前、珠王医療の跡継ぎの家で居候してるんじゃないのか。
確か8プロの女社長が夫人だろ?」
「そうですけど……って、え、会長?」
「おはよう」
「あ、はい……おはようございます」
……って、そうじゃなくて!
ナチュラルに会話に混ざってきたけど、どうして会長がそれを知ってるの!?生徒会メンバーの中じゃ、ちーくんにしか言ってないよ!?
「一応生徒会長として、
生徒のデータにある程度目は通してあるからな」
……ああ、いま、わかった。
今朝、いっくんに、会長が重なって見えた理由。