そのなみだに、ふれさせて。
「あいつって、なに、例の彼女?
もしかして、もう転校してきたの?」
「この間最果が顔を合わせた時点で、最終的な話だったんだと。
今日から転校で特進1年……お前と同じクラスだな」
わたしとちーくんは別クラス。
特進は1学年3クラスだけど、どうやら会長の彼女さんは、よりによってわたしと同じクラスらしい。……ツイてない。
「でも麻生は教室行くことないから、
結果的に俺らにはあんまり関係なくない?」
歩み寄ってきた葛西先輩が、なぜかわたしの頭にうしろから腕を乗せながらそう言う。
それに会長は「それが、」と妙に歯切れ悪く口を開いて。
「……役員になる」
申し訳なさそうに、小さく、告げた。
「は? 役員ってなんで?」
「……事情があって俺が認めた。
理事長にすでに追加役員の申請をしてる」
「いやいや、そんなこと言われても」
俺は認めないけど、と。
めずらしく、とても素っ気ない葛西先輩。……何か気にくわないことでもあったのかな。
「悪いけど、あたしも反対。
彼女ってことは女なんでしょ? ただでさえ瑠璃がほかの女の子に目つけられてんのに、会長が彼女ってだけで役員にしたの知れたら、」
「……葛西、宮原」
会長が、思わずぞくりとしてしまうほど深い声でふたりの名前を呼ぶ。
反対したことを怒ってるのかと、そう思ってしまったけれど。どうやら、そういうわけではなく。