そのなみだに、ふれさせて。



「……はい」



「……、どういう風の吹き回し?」



「それは、」



「麻生が会長を好きってことは俺も知ってるよ。

……でも俺と麻生が決めたことに、あけみが口出しする必要はないでしょ」



その声色に、あけみ先輩が口をつぐんだ。

さらりと綺麗な髪を揺らして立ち上がった彼女は、たった一言「そうね」と言って。



「これ以上生徒会が気まずくなるのはごめんよ」



冷たく吐き捨てて、昼食に食べていたパンの袋をゴミ箱に捨てたあと。

リビングを、出ていってしまった。




「……、あけみ先輩、」



「行かなくていいよ、麻生。

あけみは結構感情任せに生きてるから、すぐ機嫌悪くなるだけだし」



「でも、」



「いいよ、俺が宮原のこと見てくる」



それじゃだめだと思う。

そう言いかけたわたしの言葉をさえぎったのは菅原先輩で。彼は言うなりすぐに、あけみ先輩を追うようにリビングを出ていった。



「………」



なん、か。

……バラバラに、なってる、気がする。



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