そのなみだに、ふれさせて。
「はあ……」
「……18回目」
「うそ。……そんなにため息ついてた?」
「自覚ないのか。末期だな」
「………」
ちょっと顔が良いからって……という文句は、小学生相手なので慎む。
その代わりに「ごめんね」と謝れば、瀬奈は眉間に皺を寄せる。それから唐突にソファに座るわたしの膝の上に座るから、驚いた。
瀬奈がこんな風に子どもっぽいことをするのはめずらしい。
数年前はまだ南々ちゃんに甘えていたりもしたけど、今はすっかり大人びた言動をしているのに。
「どうしたの? 瀬奈」
向かい合ってちょこんと座る瀬奈の髪に触れる。
やわらかくてさらさらしたそれは、いっくんとよく似てる。
「……瑠璃は、頑固だな」
「やだそれ、
小学生が高校生に言うセリフじゃ、」
ないよ……と。
言いかけた言葉は、伸ばされた手の感触で消える。
すこしだけ腰を上げて高さを調節した瀬奈は、なぜかふわふわとわたしの頭を撫でていた。
……どうしたんだろう、この子。
「瀬奈?」