そのなみだに、ふれさせて。
顔を覗き込めば、瀬奈はじっとわたしを見つめたまま。
頭を撫で続けてくるから、どうすればいいのかわからない。……どうして、高校生が小学生に惑わされてるんだ。
「瑠璃は頑張ってるだろ?」
「え、」
「誰が何を言っても、
俺から見た瑠璃は、ちゃんと頑張ってる」
だから労ってる、と。
なんでもないように言う瀬奈の言葉が、じんわりと胸にしみてきて。ふいに泣きそうになって、ぎゅっと瀬奈のことを抱きしめた。
「……ありがと、瀬奈」
きっと慰めようとしてくれたんだと思う。
何度もため息をついているわたしのことを、心配して。……素直じゃないなぁ。
「……そろそろ母さんたち帰ってくる。離せ」
「やだ。瀬奈がかわいいから離さない」
「かわいいって言うな」
「今日は一緒にお風呂入ろうね、瀬奈」
「……お前に恥じらいってものはないのか」
……"恥じらい"って。
瀬奈がもっと大きかったらさすがにわたしも言わないけど、相手は小学1年生だし。
散々抵抗されたけど、一緒に入るなら離してあげると言ったわたしに折れるようにして、瀬奈はうなずいた。
なんだか無理矢理うなずかせた感があるけど、ふふっと笑って瀬奈を解放する。