そのなみだに、ふれさせて。



言われてみれば、そんな気もする。

だけど腑に落ちないこの感じはなんなんだろう。



「瑠璃が悩んでるのって、要するに。

……まだ好きな人がいるからなのよ」



「………」



「あきらめるって口先で言ったって、簡単にはあきらめられない。

だから好きなの。……なら今は、そうあるべきよ」



彼女がいるって知らなかったら、この先もわたしは会長のことだけが好きだった。

だってそうだ。彼女がいることを知っただけで、わたしの気持ちに変わりはないんだから。



「大人だって不器用なものよ。

……夕陽だって、散々わたしのことを好きだって言ってたのに、あっさり結婚しちゃったんだから」



なら、固定概念にとらわれなくてもいいのかもしれない。

わたしがただ臆病なだけで。……それでも好きだって言ってくれる人が、ちゃんといる。




「そうだ、今度生徒会のみんなを連れていらっしゃい?

瑠璃の好きな人も彼氏も、生徒会の人なんでしょう?」



「な、っ……」



なんでバレて……!

あえて先輩ってことも言わなかったのに……!



「だって瑠璃の話を聞いてたら、基本的に生徒会棟にこもってるじゃない。

生徒会以外の人間と関わらないんだから」



「お、お兄ちゃんたちには内緒にしてください……」



じゃなきゃ絶対なにか言ってくるよ……!

うっかり誰かひとりにでも伝わったら、ぜったい3人とも何か口出ししてくるよ……!



「だいじょうぶよ、言わないから。

ほら、はやく飲まなきゃ紅茶が冷めちゃうわ」



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