Miseria ~幸せな悲劇~
「やめろおおおおおお…………!!!!!」
炎が美花の身体を包み込む。同時に、吊るされた人達の首が炎にまみれて切り落とされた。
「……うあ、ああ、あああ……」
熱い。苦しい。
美花の意識が徐々に薄れていく。しかし、不思議と、死を連想させるような言葉は浮かばなかった。これは、きっと夢だ。美花はそう思っていた。
最後に霞んでいく美花の視界がとらえたのは、炎にまみれて悶え苦しむ少女の姿だった。
「……ァァァ…ァァ…ァァ………………!!!」
焼き殺される少女は恐ろしい断末魔を上げた。
そして、血だらけの彼女の顔に一線の涙が流れた。涙で洗い流された血の下から、白い彼女の肌が浮かぶ。
潤んだ黒い瞳は、何かを呪い殺さんとばかりに空を仰いでいた。