Miseria ~幸せな悲劇~
そんな二人のもとへ、英国風の背の高いタキシードを着た執事がドームカバーのついた料理を持ってダイニングに現れた。
「……あっち」
そう言いながら喰イ喰イはその執事に目配せをすると、執事はテーブルにむかって歩き出した。
「…………」
執事は美花に軽く会釈した。そして、風花の横を通って喰イ喰イの元に向かう。すると執事とのすれ違いざまに、風花はグラリと身体のバランスを崩した。
「風花……?」
風花は魂が抜けたように椅子から転げ落ちる。まるで中身の無くなった風船人形のようだった。