Miseria ~幸せな悲劇~
グサッ…!!!!!!!!!
喰イ喰イは脳みそにナイフをさした。
「あ゛あ゛あ゛、あ゛あ゛」
それと同時に、風花は信じられないほど濁った悲鳴を上げた。
ギコギコギコギコギコギコギコギコギコ…!!!!!!!
「ふ、風花……!!」
喰イ喰イが脳みそをナイフで崩す度に風花は激しく震えた。窒息する者が空気を求めてもがくようだ。
「あ゛う゛あ゛あ゛…………」
喰イ喰イの食す脳みそと風花の身体が連動しているように思えた。
美花はもちろん、拷問された者の声なんて聞いたことがなかったが、この耳を塞ぎたくなるような悲鳴は、まさにそれに近いだろう。
「おい!風花っ、風花っ…!」
美花は困惑しながら風花を抱き締めた。突然の出来事にどうしていいのか分からなかった。ただ少しでも、彼女の苦痛を治めてあげたかった。
グチャッグチャッ……………………………………………
喰イ喰イは脳みそを美味しそうに食べ続けた。
その艶かしい唇で、喰イ喰イは脳みそをすするように飲み込んでいく。
「……うそだろ? 風花、返事してくれよ」
喰イ喰イが脳みその最後の一片を食べ終える頃には、風花は美花の腕の中でぐったりとしていた。
美花の腕には生気のない風花の身体の重さがずっしりと伝わってきた。
「風花、風花……」
美花は泣きながら妹の名前を呟いた。美花の頭に彼女の『死』という文字が浮かんだ。
「おい、喰イ喰イ、てめぇ、風花に何しやがった! 風花を治してくれるじゃなかったのかよ!?」
美花はテーブルの上で肘をつきながら見下ろす喰イ喰イに向かって叫んだ。そんな美花の声にも喰イ喰イはまるで人形のように表情ひとつ変えなかった。