Miseria ~幸せな悲劇~
「美花!!風花があんたと話したいって!」
母が美花に言った。
「えっ、ちょっ、それは……」
美花は顔を赤らめた。まるで恋人と一年ぶりに再会するような気持ちだった。
よかった! また風花に会えて! か、心配させやがって! このバカ! か。
とにかく、第一声をどうすればいいのか。自分が誰よりも再会を願ったはずなのに、いざとなると言葉が浮かばなかった。
「なに照れてんのよ! ほら!」
風花に早く声を聞かせてあげな。と。母は笑顔で受話器を差し出した。
「う、うん……」
美花は母に向かって歩き出した。受話器の前であの風花が私と話すのを待っていると考えるだけで嬉しくなった。ドキドキと胸が高鳴る。
美花は躊躇いつつも母の持つ受話器に手をのばした。
しかし、ちょうどその時だった。