Miseria ~幸せな悲劇~
メイはさらに詩依に言った。
「あの火事の時、私には詩依がすごく怯えているように思えた。もし、詩依が火事について何か知ってるなら、私は……」
「なに? 私を疑ってるの? メイ……!」
詩依はメイの言葉を遮って言った。身体を震わせながら、鋭い目つきでメイを睨む。
「そうじゃないけどさ……」
「じゃあ何!? 私が大野の家に火をつけたって言いたいの!? そんなこと、何で私がする必要あるのよ! 訳がわかんない!」
いつになく詩依は取り乱した様子だった。
たしかに、メイも詩依が放火の犯人だとは考えていなかった。ただ、彼女が何か火事について知っていることは確かだった。