Miseria ~幸せな悲劇~

病院を出たメイ達三人は、人気のない鉄道橋の下で詩依を囲んでいた。ここなら誰かに会話を聞かれることはまずない。詩依が隠してきた秘密を打ち明けることもできる。


下から見上げると、橋の隙間から列車が走っていくのが見えた。耳鳴りのような不快な音がする。通る度に、橋は崩れ落ちそうなくらい大きく揺れた。


「……じゃあ、話してよ。詩依の知っていることを……」


重苦しい雰囲気の中、メイは灰色の壁に寄りかかる詩依にむかって言った。


「美花の足の怪我と、喰イ喰イのおまじないに何か関係があるの?」


祐希もまた詩依に迫った。少しだけ間を置いて、詩依は意を決したように口を開いた。
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