Miseria ~幸せな悲劇~

☆☆☆

2013年6月18日。その日、いつものように両親とも仕事で帰りが遅く、詩依は一人で二階にある自分の部屋にいた。


ガシャン……!


すると、下の階からどこかのガラスが割れる音がした。


「なっ、なに…!?」


詩依は怯えながら耳をすませた。誰かが家の中を駆ける音がする。泥棒だろうか?


不振に思いながら、詩依は静かに部屋の中で息を潜めた。家に自分がいると分かれば何をされるか分からないからだ。しかし、しばらくして、詩依は家の中のある変化に気づいた。


煙臭い………。


家の中で何かが燃えている臭いがする。
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