Miseria ~幸せな悲劇~

「あの、鈴木先生……」


「なに? 祐希」


祐希はどこか恐る恐る恵に尋ねた。


「先生はたしか、この学校の卒業生なんですよね……?」


「ん? まぁ、そうだけど」


「だったら、その……」


祐希は困惑した様子で言葉を詰まらせた。


「祐希!」


メイは祐希に諭すように目配せして首を横にふった。


祐希は喰イ喰イのことを恵に尋ねるつもりだったのだろう。たしかに卒業生の恵なら喰イ喰イについて何か知っているかもしれない。しかし、メイはそれを良しとは思わなかった。


もし、それを恵に説明すれば、また詩依や美花が傷つくことになると思ったからである。
< 143 / 394 >

この作品をシェア

pagetop