Miseria ~幸せな悲劇~

「ねぇ、祐人はこの家に生まれてきて……幸せだったって思える? お父さんのこと。不幸だって思わない?」


祐希は祐人に尋ねた。喰イ喰イを呼び出し家族の不幸を消してもらうことの是非。遠回しにあのおまじないのことを確かめたかったのだ。

「僕は……」


祐人は戸惑いつつも、祐希の目をしっかりと見て言った。


「僕は今の父さんのことは嫌いだよ。だけどいつか、元の優しい父さんに戻ってくれるって信じてる…それにこの家に生まれなかったら、姉ちゃんにも会えなかった……だから多分、僕は幸せなんだと思う……」


「……」


祐希は祐人の言葉に胸が痛んだ。
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