Miseria ~幸せな悲劇~
「……そっか、そうだよね」
祐希はそう言うとどこか微笑みを浮かべながらうつむいた。祐希は自分の間違いに気づいたのだ。
「姉ちゃん?」
そんな祐希に祐人は不思議そうに呼び掛けた。
「ごめん、私がどうかしてた……」
祐希はそう言うと嬉しそうに顔をあげた。
そうだ。私が家族を守るんだ。祐人も、そしてお父さんも。
祐希は決心した。晋吾に殴られたとき、祐希は彼のことが家族にとって不幸だと思った。そしてそれを、喰イ喰イに消してもらうことも頭を過った。
しかし、祐人の言葉で、二人にはまだ父親が必要だと思った。あんな父親でも、彼女達には唯一の親だ。消えてほしくなんてなかった。
だからこそ、三人で生きていく道を探すことにした。そしてその先に、また昔のように家族で笑い合える日がくると願って。
祐希はそれが、祐人にとって、家族にとって幸せだと信じた…………