Miseria ~幸せな悲劇~

「…ひっ、た、助けて…!」


メイの気迫にやられたのか、関口は震えながらどこかへ逃げていってしまった。


美花の暴力もそうだが、なによりメイの存在が彼にとって一番の恐怖だったのかもしれない。


「なになに? 喧嘩?」


派手に騒いだせいか校内にいた凪瀬校の生徒達までもが正門の辺りに集まってきた。


「あの人達って二年三組の子じゃない?」


「ああ、放課後のシスターズね」


「メイってあの茶髪の子? マジでスタイルいいね!」


どうやらすでに大事になってしまったようだ。


その騒ぎの中心には、もちろん、メイ、祐希、美花が立っていた。


「美花、最近イライラしすぎだよ。どうしたのさ?」


メイは美花のおでこを軽くチョップした。


美花の暴走に対するメイの制裁(と説教)は今日のところは軽めであった。


「ちぇっ、はいはい、サーセンでした!謝れば良いんだろ? メイメイ様ー」


美花はふざけた態度でペコペコと頭を下げた。


ちょうど美花の頭が一番低い位置に来たとき、祐希は渾身の力で拳を降り下ろした。


「痛ってぇ!!!!」


美花は小さなたんこぶができる程のダメージを受けた。


「もうっ、美花の馬鹿!!」


祐希は色々と言いたげであったが、とりあえずはそれで勘弁したようだった。


美花も普段通りの気さくな表情で、喧嘩の際に見せていたどこか暗い表情もすっかり失せていた。
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