Miseria ~幸せな悲劇~
そんな三人の祐希をめぐる騒動を少し離れた場所から(他人のふりをして)眺める者がいた。
「はぁ、またあいつらなんかやらかしてる。どうせまた美花かメイが揉め事を起こしたのね」
姉の高校の制服を着た小学生のように小柄な少女、杉若詩依(スギワカシヨリ)である。
詩依は(一応)メイ達と同じグループのメンバーで(つまり昼飯は一緒に食べる)、今回の騒動こそは無関係だが、凪瀬校のトラブルメーカーの異名を持つ美花同様の問題児だ。
祐希と美花は小学生の頃から仲が良く、そこに中学で転校してきたメイが合流したわけだが、詩依は高校一年の頃からから徐々にメイのグループに入ってきた。
「あれっ、詩依いんじゃん!おっはー!」
美花が詩依に気づいて手をふってきた。
それと同時に回りをたむろしていた生徒達がいっせいに詩依の方を向いた。
「うわっ、なんか嫌な予感……」
詩依はなるべく美花達に気がつかないふりをした。
これだけ騒ぎになればそろそろ先生達が現れる。
詩依はずるずると今回の騒ぎに巻き込まれる予感がしたのだ。
そこへ、