Miseria ~幸せな悲劇~
メイはまた窓の外に視線を移した。窓からは学校の正門が見下ろせる。美花が来れば、すぐに知ることができた。メイは目線はそのまま窓の外へ向け、机の下で器用に祐希への返信を打った。
『大丈夫❗ 美花が来たらすぐ知らせるから。それより今は授業に集中❕美花のノート作ってあげなきゃね』
ここまで書いて返信ボタンを押そうとした時、メイはおもむろに手を止めた。後ろから誰かに見られている気がしたのだ。
「メイ……」
誰かがメイを呼ぶ声がした。メイは静かに振り返ったが、そこには誰もいなかった。
「鈴木先生!! 大変です!!」
その直後。血相を変えた教師が教室に入ってきた。そして、彼の口から信じられない悲劇が語られた。
思わずメイは手にしていた携帯を落とした。その携帯には、先程メイが打った文章がむなしく表示されていた。