Miseria ~幸せな悲劇~

その頃、祐希は一人、喪服姿のまま自分の部屋のベッドの上で膝を抱えて座っていた。


「……………」


涙すら枯れ、憔悴しきった様子で祐希は項垂れている。


メイ達とは違い、結局、祐希は美花の葬儀場に赴くことさえできなかった。冷たくなった彼女を棺越しに見ることさえ耐えられなかった。


「………姉ちゃん、いいかな?」


そんな祐希の部屋に祐人は顔を強張らせながら入ってきた。祐希の気持ちを思ってか、いつもよりずっと声が小さかった。
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