Miseria ~幸せな悲劇~
その日、祐希は公園のベンチに座りずっと涙を流していた。美花はそんな祐希の隣に座り慰めていた。
「祐希、もう泣くなよ」
美花は祐希の背中を擦りながら強い口調で言った。
「だって、お母さんが、お母さんが死んじゃったんだよ。もう私、お母さんに会えないんだよ……」
つい昨日の事だ。祐希の母は以前から患っていた肺の病が悪化し、病院に運ばれた。
そして、そのまま眠りにつくように、祐希達家族を置いて息をひきとった。
「………お母さん、お母さん、嫌だよ」
その時、祐希はわずか10歳だった。あまりにも早すぎる愛する母との死別だった。祐希の心は、受け入れがたい現実に引き裂かれそうだった。