Miseria ~幸せな悲劇~
やがて二人はまた、海沿いを歩き出した。
「泊まる場所とかは大丈夫なの? 祐希の家にはまだ入れないだろうし」
「うん。しばらくは帰れないみたいだけれど、近くに住む親戚の人が祐人と一緒に泊めてくれることになったから」
祐人は祐希より先にその親戚の家にむかったそうだ。事件の時、彼はまだ中学にいて難を逃れた。
「そっか、ならよかった」
一人暮らしのメイならば、祐希と祐人の二人ぐらい迎え入れてもいいと思っていた。
まぁ、それでも、しっかりとした受け入れ先があるのなら、そちらの方がいいかもしれない。
「ねぇ、メイ……」
「ん? なに?」
そんなことを考えていたメイに、祐希は不安そうな口調で言った。