Miseria ~幸せな悲劇~

「これから私が美花の不幸を受け入れることになるんだよね……」


祐希の言葉を聞いて、メイはハッとした表情を浮かべながら立ち止まった。


「美花の不幸……?」


メイの脳裏に美花の葬儀場での風花の姿が過った。


サッカーという美花の夢と引き換えに、美花は喰イ喰イに風花の死という不幸を消させた。


今ある風花の声も、身体も、そして姉のために流した涙も、全部、美花が守り抜いた風花の命だ。


しかし、だとしたらその不幸は……?


次にその不幸を背負うことになるのは………?


メイは足の底から地面に血が抜けていくような感覚がした。


「どうなるのかな? 私、美花は才能とか言ってたけど……私には特別なものなんて何もないし……」


祐希は不安げな様子だった。祐希は美花と才能について話した日のことを思い出したのだろう。


しかし、それは美花の本当の不幸ではない。祐希は風花の事故を知らなかったのだ。
< 249 / 394 >

この作品をシェア

pagetop