Miseria ~幸せな悲劇~
「……えっ、どうしたの…? メイ……」
祐希は死体のように沈鬱とした表情のメイにむかって言った。彼女の雰囲気からただならぬ事態を察知したのだろう。
「その……」
メイは一瞬声に出すことをためらった。これを伝えれば、祐希をまた追い詰めることになるからだ。
「祐希、いい? 落ち着いて聞いて」
しかし、真実を伝えなければ、祐希は祐人に迫る危険を知ることさえできない。メイは意を決した。
「絶対に私が……私が何とかしてみせるから! だから……!」
メイは美花の本当の不幸を祐希に語った。
美花が瀕死の風花を救うために喰イ喰イを呼び出したこと。そして、その不幸を次に誰が背負うことになるのか。その全てを知った時、祐希は思わず言葉を失った。
「……………」
この時、すでに祐希は逃れられない喰イ喰イの不幸の連鎖にその身を捧げていたのだ。