Miseria ~幸せな悲劇~

しばらく歩いて、二人は祐希の親戚の叔父の家に到着した。古い平屋の日本家屋だ。祐希は玄関の戸を開けた。


「あら、祐希ちゃん、おかえりなさい」


家の奥から祐希の叔母が現れた。割りに太ったかばみたいな体つきをしている。


祐希は渋い表情のまま軽く挨拶した。その後ろでは、メイも同じような表情で佇んでいた。


「えっと、その子はどちら様?」


祐希の叔母は不思議そうにメイを見て言った。


「祐希の友達の神崎です。神崎メイ」


そう言ってメイは小さくお辞儀した。


「あら、そう…」


叔母は父親が死んだタイミングで友人が訪問してきたことに違和感を覚えたのだろうか、無意識に首を傾げた。


「あの叔母さん、それより祐人は今どこに?」


祐希は心配そうに尋ねた。


「ああ、祐人君なら…」


叔母がそう言うと同時に、祐人が長い廊下の奥から歩いてきた。中学の制服を着たままだったが、顔は思ったより元気そうだった。


「姉ちゃん? どうしたの?」


祐人はキョトンとした顔で尋ねた。
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