Miseria ~幸せな悲劇~

ここからなら電車を使った方が凪瀬高校まで早い。メイと祐希は最寄りの駅まで行き、電車を待つことにした。


ただ、時間帯が遅く、比較的利用客が少ない駅であったために、電車はなかなか来なかった。


メイと祐希は各々携帯を使って電話をかけた。


「ダメ、鈴木先生、出ないよ…」


祐希が残念そうに言った。


以前は知らないと言っていたが、もしかすると、恵なら魅郷が隠した資料のありかに心当たりくらいはあるかもしれない。と思ったからである。


しかし、その後も何度か彼女の携帯にかけてみたが結局、恵が電話に出ることはなく、祐希は諦めて携帯をポケットにしまった。


「こっちは来てくれるみたいだよ」


メイはメールをうちながら言った。


「いいのかな? 巻き込んじゃって…」


祐希は不安そうな顔をしていた。


「大丈夫、あいつもかなりキレてるみたいだし。喰イ喰イのこと」


ガタンガタン…。電車が走る音がする。凪瀬校へ向かう電車がホームに到着した。


時刻は夜の9時40分頃だ。電車の中にはほとんど人が乗っていなかった。電車が最寄りの駅に到着すると、二人は急いで学校へ向かった。
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