Miseria ~幸せな悲劇~


うちの学校の女子生徒?


机の隙間からわずかに見えたのは、凪瀬校指定の茶色いレーザーの外履きと黒いソックス、細い足首だった。



その生徒はゆっくりとした歩調で職員室の奥へ向かっていく。


さっきの体当たりといい、こいつがまともな生徒でないことは間違いない。


とりあえず、職員室は調べ終わったことだし、隙があればすぐにここから逃げるのが得策か。


メイはそんなことを考えながら裕希と詩依にアイコンタクトと最低限のジェスチャーで合図を送った。


その間にも足音はウロウロと職員室を歩き回る。


「……………」


私が合図をしたら一斉に職員室のドアにむかって走る。


合図はあいつが入り口から一番離れたタイムミングを見計らって出す。


それまでは静かに身を縮めて待機。


メイの送った合図は主にその三つだったが、祐希と詩依はメイの意図を汲み取ったようで静かに頷いた。


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