Miseria ~幸せな悲劇~

「きゃああああ!!!!!!」


祐希が思わず悲鳴を上げた。


そこにはスカートから腸を垂らした下半身だけの女の体が歩いていたのだ。廊下には彼女が垂らした血が線となってのびている。


靴と足しか見えなかった凪瀬高校の生徒の正体はこの半身の女であった。


「な、なによこの化け物…!」


女はふらふらと揺らぎながらこちらにむかって歩いてくる。


歩調は決して速くはなかったが、メイ達はその異様な光景に圧倒されジリジリと後ずさりした。


「あっ………!」


女に気をとられていた詩依は机の側に置かれていたゴミ箱に足をとられた。


一瞬、詩依はつまつずいた足元に視線を移す。



「あ、ああ…あ……」


その隙を狙ってか、何か黒い影が高速で詩依に迫った。
< 292 / 394 >

この作品をシェア

pagetop