Miseria ~幸せな悲劇~
「ぐうっ…!!」
半身の少女はメイの首を食いちぎろうとよだれをたらしながら口をパクパクとさせる。まるで獲物に襲いかかった猛獣のようだ。
メイは首を噛みつかれまいと化け物の腕をつかんで抵抗した。
人間とは思えないほどの強い力だ。このままだとメイの腕がへし折られる。
メイはひ弱なモデル体型の見た目とは裏腹に力はかなり強かった。
腕っぷしの喧嘩なら男子にも、そして美花にも負けたことがない。
しかし、そんなメイでさえも獲物を狩る野生の獣のような力に必死で耐えることが限界だった。
「逃げて! 二人とも! はやく!!」
メイは祐希と詩依にむかって叫んだ。
同時にメイの腕から骨がきしむような音がした。
「痛っ!!」
少女はそんなメイを嘲笑う表情を浮かべメイと組んだ腕にさらに力を込めた。骨にひびが入ったのか、メイの身体に激痛が走る。
「でも! メイ!!」
祐希は思わずメイに駆け寄ろうとした。メイはそんな祐希に首を横に振った。