Miseria ~幸せな悲劇~

「メイ、怪我はない?」


詩依は柄にもなく心配そうにメイに駆け寄った。


「全然、腕は少し腫れたけどこのくらいなら平気」


メイは制服の乱れを直しながら二人に微笑んだ。


少女の下半身の方は電池を失ったロボットのように動きを止める。


どうやら本体は頭のついた上半身の方だったようである。


「この人も、喰イ喰イの手下だったのかな」


祐希はメイに近寄りながら言った。


「さぁ、でも状況からして無関係では…」


メイがそう言いかけたとき、崩れた棚から何かがうごめく音がした。


「……!!」


見ると少女の上半身が埋もれる棚と本の山がわずかに動いた。


「まさか、まだ動けるの…!」


「えっ!」


祐希と詩依は息をのみながら化け物が埋もれる場所に視線を移した。
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