Miseria ~幸せな悲劇~
「はやく来て!! メイ!!」
祐希はメイにむかって叫んだ。
「くっ……!」
メイは職員室の入り口にむかって走り出した。
「うがああ゛あ゛あ゛…!!」
祐希はメイが来たらすぐに戸を閉められるように構えた。
「はぁ、はぁ!」
メイは机を乗り越えながら祐希達の方へ走る。しかし、半身の少女との距離はどんどん詰められる。
走り出した頃にはメイの方が入り口に近い位置にいたが、入り口の直前にいたると、その差は僅か1mを切っていた。
「手を…!」
少女にメイが追いつかれそうになった時、詩依はメイに手を伸ばした。
メイが詩依の手を掴むと詩依は全体重をかけてメイを引っ張った。
「えいっ!!」
メイが入るのとほぼ同時に息を合わせ祐希は戸を渾身の力で閉めた。
すると化け物がメイにむけて伸ばした右手が戸に挟まり、そしてその手は未だ前に出ようともがき続けた。
「………」
尻餅をついたまま座り込むメイと詩依であったが、二人は裕希にむけて目で何か合図をした。